リウマチ⑥
「きっかけ作り」から、次に何をするべきでしょう?
「きっかけ作り」で利用したのは「すぐできて」「楽な」日常生活動作でした。
今度は一歩進めて「すぐできて」「楽な」日常運動動作をやってみましょう。
最初のおすすめは、入浴時にスポンジを握る、「スポンジニギニギ運動」です。
入浴時に、スポンジを握って~脱力、握って~脱力、を10回程度くりかえすだけでとても簡単です。
これなら毎回の運動の習慣づけもスムーズです。
そして、この「スポンジニギニギ運動」を紹介する過程で、次のことを理解してもらいます。
Ⅰ 早期からの運動により障害の進行が予防できること(早期リハビリの効能)
Ⅱ リウマチの機能障害は、①筋力トレーニング、②関節可動域訓練の重要性)
Ⅲ 以前はリウマチの炎症が完全に治まってからリハビリを開始すべきだといわれていたが、待っていると障害が進むので、現在はある程度炎症が治まっていればむしろ積極的に運動をする(炎症とリハビリの考え方)
このように、リウマチのリハビリの本質的なポイントをあわせて理解していただきます。
これによりリウマチのリハビリ全体のコツをお伝えします。

コツをつかんで頂いたあとは、運動の大黒柱である「リウマチ体操」を患者さんにお伝えします。
リウマチ体操には、全身の関節を各方向にくまなく、動かし、関節可動域を維持拡大する関節可動域訓練と、手足に負荷をかけることにより、筋力の維持・増強を目的とする筋力強化訓練とがあります。
運動の範囲は、痛みのない範囲から徐々に広げていくようにします。
ゆっくり行い、反動をつけることは厳禁です。運動量は、翌日に痛みや疲れが残らない程度が目安になります。
もちろん、リウマチの症状にはそれぞれ個人差があり、さまざまに状態が変化していきます。まず、患者さんにあった体操をいっしょに見つけ、それを毎日やってもらうことで効果があることを確認してもらいましょう。
手の筋力の強化(等尺性運動)
- 1.肘を張って合掌し、両手を押しあう。
- 2.肘を張って、指を握り、手を引きあう。
- 3.手首を上下に交差させ押しあう。
膝周囲の筋の等尺性運動
- 1.仰向けで寝てもらい、膝の下に丸めタオルを置く。
- 2.そのタオルを下の方向に押さえつける。
