パーキンソン病A(介護者に敬意を)
パーキンソン病の患者さんを見ると、「いったい何が大変なの?」と介護者に聞きたくなってしまいます。
なぜなら、見た目には、歩くことはできる、座ることもできる、階段ものぼることができたりするからです。
しかし、実際は階段がのぼれる患者さんでも、ヨーグルトのふたが開けられない、靴下がはけない、排せつの後始末ができない等々、介護者にとっても非常に手のかかるつらい病気だということです。
パーキンソン病は、たとえ歩けたとしても見た目以上に在宅介護が大変な病気である、という事実を訪問する関係者はまず理解する必要があります。
しかし、最近は薬物の治療が進歩したため、短期間のうちに寝たきりになる患者さんは少なくなってきました。
介護者が愚痴をこぼしているときは、「ただ、依存心が強いだけでは?」「自分でできることは自分でやらせて」などと、病気に対して認識不足、無理解な発言は決して介護者にはしてはいけないということを覚えておくことが大事です。
介護されている方には、どんなことが大変なのかを具体的に聞き出し、その援助法をともに考え、ねぎらいの言葉をかけるというのが大前提です。

「介護者がなぜ大変なのかが第三者に理解しにくい」ということが、パーキンソン病の在宅生活上の最大の特徴といえます。
実際、パーキンソン病はその機能障害が特異的で、たとえば、午前中にできていたことが午後にはできていなかったり、誰も見ていないときには動いた形跡があるのに、人がいると動けずに介助を求めたり、歩いてると思ったら、急に足に根が生えたように動きがとまってしまったりなど、私たちの一般常識では理解しがたいことが次々に起こります。
それは、おもにパーキンソン病の3大主徴からなるとかんがえています。
@固縮(こしゅく/筋肉がこわばる)
A動作緩慢(動きが小さくおそい)
B振戦(しんせん/手足がふるえる)
です。

そのなかで日常生活への影響が最も大きいのが、固縮です。
固縮は関節や体を曲げようとする筋肉(屈筋)と伸ばそうとする筋肉(伸筋)がともに収縮した状態になるため生じるといわれています。
収縮力は屈筋のほうが強いので、関節が曲がった状態で固まりやすく、特有の前かがみ姿勢をとります。
振戦は、薬物でコントロールが比較的しやすく、意識的に動こうとするとふるえが止まることが多いため、日常生活への影響も比較的少ないともいえます。
介護者も、大抵の人が初めてパーキンソン病患者に向き合うので、こういった症状からくる、これらの現象にとまどいながらも受け入れて、日々生活をともにしているのです。
ですから、患者さんの関係者に肝に銘じておいてほしいことは、
「介護者には敬意をもってねぎらいの言葉を」
です。
