シニアの悩み解決ヒント
頼れる親族のいない一人暮らしの60代女性。将来に漠然とした不安。
要介護期の住まいをどうする?
相談内容
昨年会社を退社しました。独身で将来介護が必要になった場合のことを考えると不安があります。特に住まいについて、自宅のリフォームや介護施設への入居等、複数の選択肢があると聞きました。資産状況等を踏まえ、介護が必要になった際の住まいについて知りたいです。

木村さんデータ
- ・資産(時価):自宅3000万円ローン完済
- ・収入(手取り):年金200万円/年
- ・支出:生活費等200万円/年
- ・家族構成:木村さん66歳
STEP1.
要介護の住まいは「自宅」か「介護施設」か。それぞれの注意点。
要介護になった場合の住まいの選択肢としては、大きく分けて「自宅」と「介護施設」の2つがあります。
木村さんのように1人暮らしで親族からのサポートが期待できない場合でも、訪問介護等の居宅サービスを利用して生活する方もいますが、いざというときのリスクや食事等の日常生活への不安等を考えると、高齢者向け施設・住宅も有力な選択肢になります。
自宅で介護を受けて暮らしたい場合は、元気なときから近所に親しい友人をつくっておくことをお勧めします。
特に一人暮らしの場合は、毎日決まった時間に電話等でお互いに連絡をとりあう友人がいると安心です。
加えて、地域包括支援センターに足を運んでみる等、居住地域にどのような介護サービスがあるかを事前に把握しておくことが大切です。
そのほか自宅を売却して賃貸物件に引っ越すという選択肢もありますが、その際に住み慣れた地域を離れるのに抵抗がなければ、介護サービスが充実している地域を選ぶのもよいでしょう。
また、要介護認定を受けた場合は、段差をなくす、手すりを付ける等の20万円までの住宅改修に介護保険が適用されます。所得等に応じて1割・2割・3割が自己負担となります。また、一定のバリアフリー改修工事を行った場合、改修後、居住を開始した年の所得税額が一定額(最大控除額60万円)控除される特別措置もあります。(2023年12月31日までの入居)。ただし、大がかりなリフォーム費用もかかるので、本当に必要なのかどうかを慎重に検討する必要があります。
将来的に施設への入居を考える場合には、自宅から離れることになるので、家の中の荷物を整理し、持ち物を少しずつでも減らしておくとよいでしょう。
また、高齢者向け施設・住宅に入居する際には「身元引受人」必要です。
身元引受人の役割は、債務保証と入院や手術の同意、身柄や遺留品の引き取りです。子どもが担うことが多いのですが、いない場合は甥や姪が担うこともあります。
木村さんの場合は、疎遠になっている甥や姪がいるようなので、今から連絡をとって、いざというときにお願いできる関係を築いていくようにできればよいでしょう。
身元引受人の引き受け手がいない場合は、身元保証会社を利用する場合もあります。

介護期の住まいの選択肢とその確認ポイント
自宅で介護を受ける場合 | 介護施設に入居する場合 |
・近所に親しい友人がいるか ・住んでいる地域にどのような介護サービスがあるか ・自宅の改修(手すりやスロープの設置等)を行うか ・自宅に住み続けるか、売却して賃貸に住みかえるか |
・家の中の荷物を整理し、持ち物を減らせるか ・親族等に身元引受人の担い手がいるか ・入居一時金や月額費用を支払うことができるか ・どのような介護サービスを求めているか |