冷え症@
西洋医学では冷えを病気とはとらえないため、「冷え症」という病名はありません。
しかし東洋医学では、「冷えは万病のもと」と2000年以上も前の文書にも書かれているとおり、冷えは重要な病気の概念です。
冷え症、貧血症、低血圧症に悩んでいる人の多くは、そのほかにも頭痛、めまい、手足のしびれ、胃腸の不調、疲労感、動悸、不眠など、さまざまな不調をかかえています。
これらは、体質、不定愁訴、自律神経失調症などとされ、治療はなかばあきらめられていました。
西洋医学ではとらえどころがないこれらの不調は、東洋医学の視点からみると「冷え」というキーワードでくくることができます。 まさに、「冷えから生まれた万病」なのです。
現代社会はどんどん便利になり、冷房のきいた室内で夏でも長袖で過ごし、冬でも冷蔵庫で冷えた飲み物を飲み、ハウスで栽培された季節はずれの野菜を食べ、移動のために電車や車を使い、歩くことはめっきり少ないという生活を送るようになりました。
私たちは、季節を忘れ、生身の人間であることを忘れ、体が発するSOSの悲鳴さえ聞き分けられないほどになってしまいました。
便利さと引き換えに、体にどんどん冷えをため込んでいるのです。
快適さを求めて冷暖房を使うことで、室内外の温度差、湿度差の中での生活を余儀なくされています。
どんなに教科書通りに漢方薬を飲み続けても症状がよくならない方がいます。
その方々の特徴は「手や足が冷たくぬれている」ということです。
その原因が、「緊張性の汗がエアコンで冷やされている」ということとわかりました。
緊張性の汗が続くと、体がしんから冷え、その結果、自律神経がバランスをくずし、下半身は冷えているのに上半身はのぼせている「冷えのぼせ」という状態をつくりだします。
今回は、こういった冷え症というものから起きるさまざまな体の状態、とらえ方、改善を考えていきます。