冷え症E
「水を飲む」ことは、いまや健康づくりの基本のようです。医学や栄養学の多くの専門家が、1日1〜2ℓもの水をのむようにすすめています。
そこには、水分補給だけでなく、より大きなポイントとして、体内に停滞している老廃物を、水によって「排出させる」という意味合いがあるようです。
ブームの「デトックス(毒出し)健康法」も、この流れのひとつでしょう。
ただし、誰もかれもが同じように飲んだ水が排出されるものか、疑問も残ります。
水分は運動などで汗や尿となって排出されればよいのですが、いまは、体は動かさなくても水だけは飲むという人がほとんど。
体が冷えていると、水分は代謝されにくいのです。
それでなくても日本の気候は湿気が多く、過剰な水分は往々にして排出されないまま体の中にたまっていきます。
余分な水分が、さらに冷えをよび、不調の原因になっていきます。東洋医学でいう、「水毒」にあたります。
水毒といっても、水そのものが悪いというわけではありません。
東洋医学では、体の中で水分がとどこおったり、一部に偏ってたまり、調和がとれなくなったりしている状態を「毒」と考えるのです。
例えば、鼻水や痰がしきりに出るのは、体から余分な水を出して冷えを取り除こうとする反応です。
そのほか、めまいや耳鳴り、頭痛、リウマチ、喘息や花粉症などのアレルギー疾患、下痢、動悸なども、東洋医学では、水分の代謝がうまく行われずに体内にとどこおっているために起こる病気とされています。
私たちの体は、60〜80%が水によって占められています。水には、細胞の中にある水分(細胞内液)と、細胞の外にある水分(細胞外液)とがあります。
細胞の中の水分は、細胞の膜に包まれ中に閉じ込められているのでおとなしくしていますが、細胞の外の水分は、体の中をあちこち移動します。
体の中の水分は、年齢を重ねるにしたがって少なくなりますが、主に減るのは細胞の中の水分。
そのため、細胞自身がしぼんでくるのですが、細胞の外にある水分は、それほど減らずに、体の中を動き回ります。
若い人にくらべて、お年寄りがすぐにむくんだり、逆に脱水症状をおこしたりしやすいのは、細胞の中の水分が減って、細胞の外の水分が体の中を動くためです。
お年寄りがどんなに水を飲んでも、みずみずしくならないのは、飲んだ水が細胞内に入らず、細胞の外にだぶついてしまうからです。
しかし、お年寄りの場合は、水分の取り方が少なすぎてもいけません。
体の中の水分が少なくなると、血液中の水分も足りなくなって、血液が濃く粘りつくようになり、血栓(血のかたまり)などができやすくなります。
このように年をとるほど体の中の水の代謝は不安定になって、早く排出されすぎたり、逆に1か所にとどまりすぎたりもします。
ラクエル訪問マッサージでは、患者様、ご家族の方々を含め水分の取り方のアドバイスや汗、尿などの情報をできるだけわかりやすく伝えるように努力しています。