脳卒中後遺症A脳の仕組み
脳卒中を理解するうえで脳を知ることは重要なことです。各部位の役割と障害が起こったときの症状についてご紹介します。
@大脳
脳卒中が最も発症しやすい部位です。大脳は2つの握りこぶしを手のひら側で合わせたような形と大きさをしています。
いわゆる右脳と左脳があるわけですが、それぞれ少し異なる仕事をしています。そのため、右脳が障害された場合と左脳が障害された場合では後遺症に違いがみられます。
また、深いひだにより大脳は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の4つに分かれ、それぞれ異なった働きをしています。

(A)前頭葉
主に2つの働きをしています。一つは運動に関係する運動皮質という部分で左右反対側の体の運動をつかさどっています。
したがって、右脳のこの部分に脳卒中が起これば左の片麻痺に、左脳に脳卒中が起これば右の片麻痺になるわけです。
二つめは、抽象的な思考や発動性をつかさどるという働きです。
もしこの領域に脳卒中が生じれば、非常に不活発で話もしない無表情な状態になります。
(B)頭頂葉
触覚などの感覚をつかさどっています。感覚皮質という特殊な領域が、体中の「どこでどんな感じがするのか」などの情報を認識するのです。
もし右頭頂葉が脳卒中で障害された場合は失認(触覚、視覚、聴覚自体は正常でもそれが理解できない)と呼ばれる奇妙な現象が起こります。
(C)側頭葉
聴力と記憶をつかさどっています。記憶の貯蔵庫でもあります。通常は両側の側頭葉が障害されないかぎり、永続的な記憶障害は起こりません。
(D)後頭葉
視覚に関する情報処理を担当しています。この領域の脳卒中では、視力が正常でも障害側と反対側の視野が欠損するという同名半盲(どうめいはんもう)という状態が生じます。

A脳幹
延髄、橋(きょう)、中脳の3つの部分で構成されています。呼吸、嚥下(えんげ)、血圧、心拍数などの生命維持のための原始的な調整をつかさどっている場所です。
そのため、脳幹の脳卒中はときに致命的となります。
B視床
視床は大脳へ向かうすべての情報の中継点で、大脳へ送る情報の交通整理をしている場所です。
ここは、被殻(ひかく)と並んで脳内出血を生じやすい部位で、はなはだしい感覚脱失と、たとえようのない頑固な痛み(視床痛)を生じることがあります。
C小脳
小脳はふだん私達がなにげなく行っているバランス運動や協調運動などの調整を行っています。そのため小脳の脳卒中では体のバランスがわるくなり、運動失調が起こります。
