脳卒中後遺症B-W(痛みとしびれ)
脳卒中の後遺症のなかで頻度の高いものに、「痛み」「しびれ」があります。
とくに、脳の視床という部分の障害によって生じる「視床痛」は表現のしようのない不快な痛みといわれ、灼熱感やしびれを伴うことが多く、一般的な痛み止めである非ステロイド系消炎鎮痛剤の効果が望めないと医師の方からきいています。
そのような場合は、抗うつ薬や精神安定剤などを痛み止めとして投与されていると聞きますが、残念ながら効果は限定的だそうです。
また、痛みは、運動時、寒冷時、夜間などに増強する傾向があり、私達訪問マッサージに対しても、「リハビリをすると痛みが強くなるので、リハビリをやめたい、施術を中止にしたい」と言われたときは、返答に窮してしまうこともあります。
施術を中止すべきか否かは、痛みの程度と範囲によっても異なるわけですが、なにぶん施術者には「痛み」は見えないので、それすらも判断できないのが現実です。

痛みのため、施術を休みたい、という申し出に対しては理解を示し、それを受け入れ、そのかわりに痛みを軽減する方法をいっしょに考える、という態度をとることを心がけています。
実際、マッサージ療法、温熱療法、サポーターなどできることは限られており、あまりいい結果は出ていません。
しかし、患者さんといっしょに考えながらやってみる、というプロセスは痛みに苦しむ患者さんを孤独にさせず、心の扉を閉じさせないために、大切なアプローチとも考えています。
患者さんの立場で考えてみても、自分でも表現のしようのない痛みを理解してもらいたいとは、あまりはじめから考えていないのではないのでしょうか。
せめて、痛いときに共感してもらえて、苦しいながらも対策をともに考えてくれるパートナーがほしいのだと私達は考えています。
脳卒中後の難治性の痛みをもつ患者さんに対する接し方というのは、私たちのカンファレンスなどでいつも行き詰まるテーマでもあり、手探り状態であることは、確かです。
そんな中でも、私達ラクエル訪問マッサージでは、
「ときどき共感しつつ、常に寄り添う」
というスタンスで「痛み」「しびれ」には、向き合うようにしています。
