しびれF
人間の体には自然治癒力が備わっています。自然治癒力とは、切り傷や擦り傷が元通りに修復されること、すなわち細胞の再生力のことです。そして、この力は障害において失われることがありません。
しびれの治療においても自然治癒力を基本とします。
もちろん不調を感じて放っておくことは良いことではありません。中には薬物療法や手術を受けて治さねばならない疾患もあるでしょう。
しかし、それらは治療の主役ではありません。あらゆる医療機関でできることは、いわば自然治癒力を手助けすることなのです。
自然治癒力は人間の体に備わっている能力ですが、年を取るにしたがってその力はだんだんと弱まっていくことも事実です。
しかし、まずは自らの細胞の再生力を信じて、自分でできるところまで改善し、せめて進行を抑える意欲を持つことも大切だと考えています。
つらい症状を抱えている時は、誰でも気持ちが弱くなるものです。
いつまでも治まらないしびれに、もう二度と治らないのではないか、もう二度と元の生活に戻れないのではないか、と思い悩んでしまうこともあるかもしれません。
しかし、焦りは禁物です。体が不調を訴えているなら、まずは安静をとってみることです。
そして、原因を探り、どんな治療をすればいいのか、どんな方法で予防や改善をしていけばいいのか、予防法や症状との上手な付き合い方をじっくりと考え、体得していけばいいのです。
焦って手術を急いだり、合わない民間療法などをしたりするなど、後悔するような結果を招いては本末転倒です。
急がば回れという言葉があるように、早く治りたければ、生活習慣や環境を改善してみたり、運動療法や物理療法(温熱、寒冷、電気、光線などの物理的な方法で行う治療)を取り入れてみたりすることもいいでしょう。
自分自身で治すという信念を持ち、前向きに治療に専念し、それを続けていくことが何よりの近道とお考えください。
また、しびれ、痛み、こりなどに対して、効果のある薬は幾つかあります。
ただし、それは「表面化している症状」のみを抑える手段であって、その症状を引き起こす疾患を治す効果はありません。
しびれにはビタミン剤や血管拡張剤、痛みには消炎鎮痛剤、こりには筋弛緩剤、心因性が関与している場合には抗精神剤など、医師が症状の強さや経過をみて処方します。
ビタミン剤や消炎鎮痛剤では、椎間板ヘルニア等は治すことはできませんし、こりを筋弛緩剤でほぐしても、原因が治らなければしばらくすれば再び筋肉は硬くなります。
薬物療法は、漫然と飲んで薬に頼り切るのではなく、つらいときにだけそれを軽くするための対症療法として、薬を服用しつつ、その間、自然治癒を待ちながら、症状の原因をしっかり絶つことが必要です。
しびれには、いろいろな症状や原因があることはわかりましたが、やはり、まずは自らの細胞の再生力を信じて、自分でできるところまで改善し、せめて進行を抑える意欲を持つことが大切だと思われます。