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整腸(排便のメカニズム)D
排便には精巧なメカニズムがあります。
便は大腸の中を移動して、最終的に直腸にたどり着きます。すると、直腸壁が伸ばされ、それが刺激となって仙髄の排便中枢に伝わります。
排便中枢からは脊髄神経を通して大脳まで刺激が伝わり、便意をもよおします。
肛門を閉める筋肉には内肛門括約筋と外肛門括約筋の2種類があります。内肛門括約筋は自律神経に支配されている不随意筋ですが、外肛門括約筋は随意筋です。そのため、外肛門括約筋によって、排便のコントロールができるのです。
便意が感じられる時間は、約5〜15分で、これを過ぎるとだんだん便意が消失していきます。
便意を我慢し続けていると、徐々に直腸からの信号が大脳に発信されにくくなり、便秘を引き起こす原因になります。
一般的に女性の方が男性よりも便秘になりやすいのですが、それは女性が便意を我慢することが多いためと言われています。
女性の場合、朝はお化粧をしたり家事に追われたりして、なかなかトイレに行く時間が取れないことが多いのに加え、職場での排便を我慢する人も多いです。
排便に適しているのは、便意をもよおしやすい朝です。時間に余裕をもって起床し、排便反射を引き起こすために食事や水をとることが大切です。
食事や水分が胃に流れ込むと、胃の重みによって腸が刺激され排便反射が起こりやすくなります。
朝は排便のゴールデンタイムといわれているので、この時間帯を逃す手はありません。
肛門の筋肉は先ほど述べたとおり、2種類あり排便を意識的にコントロールできるように、2層構造になっています。
外肛門括約筋は、肛門挙筋と、狭義の外肛門括約筋に分けられます。
肛門挙筋は、骨盤に付着している腸骨尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋で構成されています。
肛門を閉めるように力を入れると、おなかの方に肛門が引き込まれるのは、肛門挙筋の働きによるものです。
恥骨直腸筋は、収縮すると、便を肛門から排泄させにくくする働きがあります。
これにより便失禁は防げますが、反対にうまく緩まないと排便をスムーズに行いにくくなります。
狭義の外肛門括約筋は、皮下外肛門括約筋、浅外肛門括約筋、深外肛門括約筋によって構成されています。外肛門括約筋を強く収縮させられるのは数秒にすぎません。
しかし、意識していないときにもわずかに筋活動があり、便が漏れることを防いでおり、排便のタイミングをコントロールできるのは外肛門括約筋のおかげです。
また、咳、くしゃみなど腹圧がかかるときにも、反射的に外肛門括約筋が収縮して、便が漏れるのを防いでいます。
内肛門括約筋は、内臓の筋肉に見られる平滑筋で、直腸壁にある筋肉の最も肛門側が肥厚したものです。この筋肉は外肛門括約筋と違い、意識的に動かすことができません。
その反面、意識していなくても働いているという特徴があります。
これは、自律神経によってコントロールされているためで、睡眠時に便がもれずに済んでいるのも内肛門括約筋のおかげでもあるのです。