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整腸(便秘)E
便秘ってどんな状態?
便秘とは、排便回数の減少や排便間隔の乱れ、便が固くなり排便困難感のあること、残便感などの症状で診断されることが一般的です。
しかしはっきりとした定義づけは行われておらず、日本国内でもさまざまな学会が独自の基準を発表しています。
日本内科学会では、「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」としています。
また、日本消火器学会では、「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指すが、明確な定義があるわけではない」としています。
このように学会によって内容が違い明確な定義はありません。
国際的には、RomeV診断基準による機能性便秘の定義が使用されています。
RomeVでは、「6か月以上前から症状があり、最近3か月で排便回数が週3回未満であること」「排便の4回に1回は排便困難感があったり、残便感、硬便があり摘便を要するなどの項目のうち2つ以上を満たし、下剤を使わないときに軟便になることはまれ、過敏性腸症候群が除外されること」を診断の条件としています。
このように、さまざまな基準はありますが、便秘に伴う腹部症状は人それぞれ表現が違います。診断基準を満たしていなくても便秘を訴える人もいれば、満たしていても腹部症状がなく、便秘の自覚がない人も多くいます。
さまざまな便秘の症状があることが分かった中で、危険な便秘かどうかの判定が大事になってきます。
まずは、薬の副作用で起こる便秘を除外し、併存疾患の便秘への影響を考える必要があります。
とくに、急に発症した便秘や、急性増悪の便秘は重篤な疾患がその背景にある可能性が疑われるため、注意が必要です。 便秘の原因となる器質性疾患は、大腸がん、炎症性腸疾患、放射性腸炎、S状結腸軸捻転症、S状結腸憩室、婦人科疾患、前立腺腫瘍、腹部疾患術後、糞石などが代表です
症候性便秘の原因は、甲状腺機能低下症、糖尿病、アミロイドーシス、薬の副作用などが代表的です。 器質性疾患、症候性便秘の危険因子として、「50歳以上」「大腸疾患の既往歴または家族歴」があげられます。
警告症状としては、@発熱、関節痛、皮疹 A粘血便 B夜間就寝中の症状発現 C甲状腺腫大、手指振戦 D肝脾腫大、E腹部腫瘤、表在リンパ節 F口腔内潰瘍があげられます。
その他、嘔気、嘔吐やガスが止まるなど、便秘の随伴症状が出ることもあります。
たかが便秘と言わずに注意深く観察する必要があります。
生活状況やQOLを医師に伝え丁寧にあつかっていくことが大切です。