介護と家計

家族と家計@−3

水谷さんの兄が同居となった際に、兄の自宅が空き家になったため、水谷さんの長女一家が住むことになりました。
長女夫婦には子どもが3人おり、家計が厳しく、広い住宅に住みかえるのは困難で、兄の家を格安の家賃で借りれば長女も助かりますし、兄も家賃収入が得られるということでまとまったはずでした。

ところが、長女一家は経済的にかなり困窮していることがわかり、兄への家賃の支払いが滞ってしまいました。
子ども3人の教育費も今後かさんでいくことから、経済的に厳しくなっていくことが考えられます。

そこで、水谷さんの長男から提案がありました。

長男には結婚の意思がなく、部屋もあるし、みんなで暮らした方が賑やかでいいので、財布をひとつにして、助け合って暮らそうと長女一家も自分たちと暮らそうという提案でした。
同居すれば長女は家賃を負担する必要がなくなり、生活コストを軽減できますし、水谷さんに子ども(孫)たちの面倒をみてもらえば、長女はパートなどで働くことができます。得られた収入を貯蓄すれば、教育費の準備もできるということで、全員が賛成し、多世帯同居が実現しました。

長女の夫は水谷さん一家との関係も良好なこと、頻繁に行き来していて子どもたちも長男になついていたことなどから、スムーズに話は進み同居生活は順調といいます。
その後、水谷さんと兄さんから実家を売却したいという展開になってきました。
同居がうまくいって暮らしが安定したことで、実家を持ち続けることへのこだわりが薄れたため、管理、保全に手間をかけるより、現金化して家族の生活や将来のために活用した方がいいと考えたようです。

水谷さん一族の場合、各自が家計改善を図るのには限界がありましたが、同居することで全体の生活コストを抑える、子育てを分担することで収入アップを図るなどの相互メリットを生み出すことになりました。

お金がない分を家族愛でカバーする、そうした視点や考え方もときには有効なケースでした。

3世帯をまとめたことのメリット

実家を売却することで生活資金を確保できた

実家の相続の問題が解消された

足腰が弱ってきた兄の一人暮らしの不安が解消された

次男が出て行った分の収入減を水谷兄の収入で補填できることになった

長女一家の住居費を削減することができた

長女の子育てを家族で協力できる体制ができた

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