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認知症と法定後見制度と家計とA
法定後見制度には、「後見」「保佐」「補助」の3種類があり、対象者や成年後見人等が可能な行為はそれぞれ異なります。
法定後見制度の概要
後見 | 保佐 | 補助 | |
---|---|---|---|
対象となる人 | 判断能力が欠けているのが通常の状態の人 | 判断能力が著しく不十分な人 | 判断能力が不十分な人 |
申立てをすることができる人 | 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など | ||
成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)の同意が必要な行為 | 民法13条1項所定の行為 | 申し立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部) | |
取り消しが可能な行為 | 日常生活に関する行為以外の行為 | 同上 | 同上 |
成年後見人等に与えられる代理権の範囲 | 財産に関するすべての法律行為 | 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」 | 同左 |
制度を利用した場合の資格などの制限 | 医師、税理士等の資格や会社員、公務員等の地位を失うなど | 同左 |
長岡さんについて太田さんが受任したのは「後見」で、日常生活に関する行為以外の法律行為に対する取消権、財産に関するすべての法律行為についての代理権が与えられます。
成年後見人決定前後のフロー
後見制度の利用を申し立ててからの流れは上のようになりますが、長岡さんはすでに親族を成年後見人として制度を利用していましたので、申し立てや審理は経ており、太田さんは家庭裁判所から成年後見人として選任され、受任した、という経緯です。
太田さんが成年後見人であることが、登記されますが、長岡さんのケースは後見登記の手続きに2週間程度かかりました。登記が済むと、登記事項証明書の交付を受け、正式に成年後見人としての活動を始めることができました。
家裁には法定後見の開始後1か月以内に財産内容を、またその後定期的に生活状況や財産状況などを報告する必要があります。
太田さんはまず長岡さんの子ども3人に連絡をとり、うち2人と面談したほか長岡さんが入院している病院など関係各所に成年後見人になったことを伝えました。
挨拶後、病院からすぐに呼び出しがかかり、入院費などの滞納が100万円以上にのぼり、子どもたちに連絡しても支払われないし、話し合いもできていないということがわかりました。
病院からは、今後も入院が続くので、生活保護を受けるなど、なんらかの方法で成年後見人が支払いの算段をつけるよう、求められました。