むくみ②
リンパ浮腫はどのように起こる?
血液は動脈を通って、全身の毛細血管に流れます。毛細血管では血液成分の一部の水分とたんぱく質が皮下組織内にしみ出し、細胞に取り込まれます。
組織で使われ、残った水分は静脈に戻り、たんぱく質はリンパ管に吸収されて、リンパ流となってやがて静脈へ戻ります。
これを例えると、水と調理の材料(たんぱく質)が動脈を通って運ばれ、調理されたのち、残った水と生ごみ(たんぱく質)がそれぞれの静脈とリンパ管という排水管に流れるというしくみです。
リンパ節が手術などで障害されると、リンパ管が中断され、吸収しきれなかったたんぱく質が皮下組織の隙間にたまって水分を引き付け、浮腫の原因となります。
しかし、リンパ管の障害で必ず浮腫ができるとは限らないのは、新しいリンパ管ができ、たんぱく質を心臓に返そうと働くからです。
ただし、本来のリンパ管に比べると働きが悪く、リンパの流れを邪魔しないための注意が必要です。
リンパ浮腫の一般的な経過
ステージ0 潜在性リンパ浮腫
リンパ管の造影によってのみ異常が確認された状態で、むくみは出ていません。
これは、脇道(新しく出来た細いリンパ管)が、リンパ管の働きを補っているためです。
むくみに気がつく前に腕や足に重だるさや緊満感(張った感じ)を覚えることもあります。
ステージ1 可逆性リンパ浮腫
むくみは、原因となったリンパ節のすぐ下(わきの下や足のつけ根)ではなく、手首や足首に感じることが多いようです。朝には軽減しますが、くり返しで、むくみは次第に強まります。
ステージ2 非可逆性リンパ浮腫
むくみが徐々に強くなり、朝になっても治らなくなります。はじめは指で押すとへこみますが、へこみにくくなってしまうこともあります。
ステージ3 象皮病
腕、足が極端に太く変形した状態で、皮膚表面が硬く、象の皮膚に似ているので象皮病(ぞうひびょう)と呼ばれます。
病気の重症度によって、それぞれふさわしい治療法があり、それを見極めるためには、「ステージ」の診断が大変重要です。
リンパ浮腫は日常的ないくつかの注意点を守れば、高い確率で予防できます。
発症した場合でも適切な治療を受け、専門家の指導によるセルフケアで、症状を改善し悪化を食い止めることができます。
がんの治療に当たる医師も、後遺症としてのリンパ浮腫を説明するようになりました。
自分の身体を守るため、患者自身も病気の予防や治療の正しい知識を持つ必要があります。