むくみ⑥
深部静脈
ここで、ご自分の手や足をご覧ください。とくに手の甲や足の先の方には青っぽい静脈がはっきり見えると思います。
ひじの内側にも、よく採血に使う静脈が見えます。ただし、うねって曲がっていなければどんなに太くグロテスクでも静脈は正常です。
足では、手と違って表面の静脈と目にみえない奥の静脈がはっきりと区別されています。
奥の静脈は深いところにあるので、深部静脈と呼ばれています。
この深部静脈には、動脈がいっしょに並んでいます。ところが、表面の静脈、すなわち「表在静脈」と呼ぶ部分は静脈だけで、動脈は並んでいません。 それでは、なぜ足の静脈には二つの通路があるのでしょうか。
これは、最悪の場合にそなえてだと考えられています。
深部の表在の二つの静脈が同時に詰まると、血液は足に入ることも出ることもできず、心臓にもどれません。そのため、動脈の血液は酸素や栄養を運べなくなり、足は腐ってしまいます。
もともと流れの遅い静脈は、動脈よりも詰まる危険性がずっと高いのです。
そこで、表と奥の二つの通路をつくることで、最悪の状況をさけられるようになっています。
深部静脈は血液の約90%を心臓に送り返しています。その力の源になるのが足の筋肉です。これは、大事な知識です。
足を含めて、からだにある筋肉はすべて、強い膜でたばねられています。
ボディビルで鍛えた筋肉も、血液だけで盛り上がっているのではありません。
繊維でできた強い膜(筋膜)の下で盛り上がって見えているのです。
その筋膜の奥、つまりいくつかのすきまに動脈があり、それと並んで深部静脈があります。とくにひざから下のふくらはぎにはスポンジ状に静脈がびっしりとはりめぐらされており、足首をぎゅっと曲げるだけで、多量の血液が心臓に向かいます。
これが筋肉による静脈のポンプ作用です。