高血圧症

高血圧症(一次性、二次性)C

現在、約4000万人いるといわれる高血圧患者の9割以上は、本態性高血圧(一次性高血圧)といわれています。

「高血圧なので、気をつけてください(降圧剤を飲みましょう)と病院でいわれた場合はまず、このタイプの高血圧と考えていいでしょう。

それに対して、二次性高血圧とはなんらかの病気が原因となり、血圧が上がる状態をさします。高血圧全体の約10%を占めるといわれています。

なかでも、多いのが、腎臓に原因がある高血圧です。 これは、腎実質性のものと、腎血管性のものに分けられます。 腎実質性高血圧は、主に慢性糸球体腎炎が原因になります。慢性糸球体腎炎は腎臓の糸球体(尿を生成する器官)が炎症を起こすことによって糸球体が障害され、高血圧となります。 一方、慢性腎盂腎炎は細菌感染などによる腎臓の炎症が原因となり、腎機能が低下して血圧が上昇していくのが特徴です。

もう一つの腎血管性高血圧は、腎動脈の内腔が動脈硬化や血管の過形成などにより狭くなって、レニンという血圧を上げる物質が腎臓から分泌されることで血圧が上昇する病気です。

また、副腎にも原因がある場合も多いです。

副腎は腎臓の上にのっている小さな臓器ですが、血圧調整に密接に関連するホルモンを分泌します。 この副腎にさまざまな腫瘍が発生することで、高血圧の原因になります。 もっとも、多くみられるのが原発性アルドステロン症です。これは副腎皮質にアルドステロンというホルモンを分泌する腫瘍や過形成ができて、血圧が高くなる病態です。アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンの一つで、腎臓の尿細管からナトリウムを再吸収し、カリウムを排泄する作用があります。

このアルドステロンが過剰に分泌されると、ナトリウムが体に蓄積し、体液量が増えて血圧が上がります。 一方、カリウムの排泄がふえるので低カリウム血症になりますが、低カリウム血症になると多飲(のどが渇く)、多尿、脱力などの症状が出ることがあります。

治療は片側の副腎に腫瘍ができている場合は手術で切除し、両側の場合は抗アルドステロン薬による薬物治療が必要です。 そのほかの副腎性高血圧では、クッシング症候群があげられます。 これは、ストレスホルモンの一種であるコルチゾールが過剰に分泌される病気で、顔が満月のようにまるまるとし、下腹部肥満や糖尿病もしばしば合併します。 また、褐色細胞腫も原因になります。副腎髄質や、脊髄にそって分布している交感神経節細胞が腫瘍化して発生します。 腫瘍からカテコールアミンというホルモンが過剰に分泌され、それが血圧を上昇させるのです。なお、カテコールアミンは血圧だけでなく、血糖も上昇させ、突然血圧が上がる、ひどい動悸、発汗などといった特徴的な症状があります。

こうした、二次性高血圧に対しては原因が特定されるので、対処法も明確です

本態性高血圧症には、原因とする明らかな病気をもちません。

ただし、さまざまな研究から血圧が上がりやすくなる要因はわかってきました。 大きく分けて2つの要因が考えられます。ひとつは遺伝、もうひとつは生活習慣です。たとえば、両親とも高血圧でない場合、子供が高血圧になる可能性は5%です。

両親のどちらかが高血圧の場合は30%、そして、両親とも高血圧の場合は60%にも及ぶという研究もあります。 しかし、高血圧になりやすい遺伝的な体質を持っていたとしても、高血圧そのものが遺伝するわけではありません。 もうひとつの生活習慣に注意することで、十分、高血圧を予防することができます。

高血圧に関与する生活習慣としては過剰な塩分摂取、過食、ストレス、喫煙、アルコールのとりすぎ、運動不足、などがあげられます。 加齢による動脈硬化でも血圧は上昇すると考えられています。 そのため、こうした生活習慣、たとえば運動不足や偏った食生活による肥満の解消、塩分の過剰摂取などを改善することは、血圧の上昇を食い止める可能性をもっています。

体質を変えることは難しいですが、生活習慣は改めることができるので、改善すべき点は改善できればと考えられています。

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