- 高血圧症(降圧薬を飲まずに)①
- 高血圧症(血管の老化)②
- 高血圧症(ストレス)③
- 高血圧症(一次性、二次性)④
- 高血圧症(接待ゴルフ)⑤
- 高血圧症(血圧サージ)⑥
- 高血圧症(血圧サージ)⑦
- 高血圧症(降圧ツボ)⑧
高血圧症(血圧サージ)⑥
2017年10月29日にNHKスペシャル「血圧サージが危ない」が放送されたことで、いま「血圧サージ」というワードが話題になっているようです。
もともと「サージ」という言葉は、循環器内科の専門医の間で従来から使われているもので、耳新しいものではありませんが、一般的にはあまりなじみがなくこの言葉が拡散された結果、不安に感じられた方も少なくないと思います。
「サージ」という言葉の意味は、「波のように押し寄せる」ということで、血圧変動を示す波形が急上昇する様をたとえて呼んでいるようです。
血栓などは、あくまでも病院との検査が必要ですが家庭においても、血圧は簡単にチェックできるファクターであるからこそ、クローズアップされましたが心筋梗塞や脳卒中などの危険を回避する方法のひとつとして考えて頂けるといいのではないかと思われます。
血圧は24時間のリズムで変動するもので、人間の体はなるべく血圧が変動しないように制御しようとします。この制御機能を「恒常性(ホメオスタシス)」といいます。
血圧サージ(波のように押し寄せ血圧が高くなる)現象で血圧が高くなるのは生命に危険を及ぼすことも考えられます。

この血圧サージも恒常性がしっかり働けば制御されるといわれてます。
この恒常性は、大きく分けて3つのファクターが「3本の矢」のように協力しあって均衡を保っています。
一つ目のファクターは、血管のコンディションです。血管が老化せず、しなやかで柔らかく、弾力に富んでいるということであれば、動脈硬化が進行しておらず、たとえ血圧が上昇しようとしても血管がその圧力を吸収してくれるだけでなく、血管の内側にある「内皮細胞」という組織から、血圧の上昇を抑える「一酸化窒素」という物質が分泌されます。
二つ目のファクターは、自律神経の働きです。自律神経とは、活動中や興奮時に優位になる「交感神経」とリラックス時に優位になる「副交感神経」があり、常にバランスをとって働くことで、人間のさまざまな生命活動を維持しています。
血管のまわりには、この自律神経が網目のようにはりめぐらされていて、血管を収縮させたり、拡張させたりすることで、血圧をコントロールしています。
三つ目のファクターはホルモンの働きです。降圧剤服用の際に、どのホルモンに作用しているかは、診断によりさまざまですが、正常な血圧を維持するのに大切なものです。
その代表的なものは、「レニン・アンジオテンシン系ホルモン」と「カテコラミン」が血管を収縮して血圧を上昇させ。「キニン・カリクレイン系ホルモン」は血管を弛緩して血圧を下げる方向に作用します。より間接的・長期的な血圧の調節系ホルモンとしては、活動中に受けた血管のダメージを修復する「成長ホルモン」、「サーカディアンリズム」と呼ばれる体内時計の調整に関与している睡眠ホルモン「メラトニン」、さまざまなストレスと戦って体を守り、睡眠から覚醒に導く「コルチゾール」などのホルモンが互いに影響しあいながら、血管ひいては血圧をコントロールしています。
まずは、この3つのファクターにより私たちが1日24時間、正常な範囲に血圧が保たれていることを知っていてください。
