肩こり@
肩周辺に感じる不快なこわばりや痛み―肩こりは、日本人にとってごく身近な症状です。
国民生活基礎調査によると、肩こりは腰痛と並んで「気になる症状」のトップクラスに入っています。
男性では、腰痛に次いで第2位、女性で第1位です。とくに働き盛りの人に多い傾向があります。
多くの人が悩んでいる肩こりですが、その感じ方はさまざまです。
「肩がこわばる」「首から肩が張る」「背中が重い」「腕がだるい」というふうに症状を感じる部分は、肩だけではなく、首、背中、腕まで広範囲に及びます。不眠や頭痛を訴える人もいます。こんなに多くの人を悩ます肩こりとは一体何でしょうか。
肩こりをひと言で表現すると「肩、首、背中の上部の筋肉が緊張することにより、違和感、不快感、しびれ、鈍い痛みなどを感じる状態」ということになります。医学的には、このような症状をまとめて「頚肩腕症候群」と呼ぶこともあります。
慢性的な肩こりを訴える人を観察すると、多くの人に共通点がみられます。
同じ姿勢を続けている、姿勢が悪い、運動不足、生活が不規則などです。
このことから、肩こりの原因には、筋肉疲労を招く生活習慣がかかわっていることがわかります。
圧倒的に多いのは、このような病気未満の肩こりです。
ただし、何らかの病気によって肩こりが起こる場合もあります。肩こりの病院となる病気には、骨や筋肉の障害だけでなく、内臓の病気、眼科の病気、うつ病などの精神疾患など多岐にわたり、ときには一刻も早く治療を要する場合もあります。
首や肩の周辺に起こる不快なこりや痛みの原因の多くは、筋肉疲労によるものが多いようです。
このこりは、筋肉が緊張して血流が悪くなることで起こります。
私たちの体は、筋肉(骨格筋)が収縮と伸展を繰り返すことで、骨や関節を支え、姿勢を維持したり体を動かしたりしています。
弱い筋肉や動かさない筋肉には疲労がたまりやすいうえ、悪い姿勢などで特定の筋肉を収縮させなければならない状態が続くと、筋肉は緊張しっぱなしで疲れてしまいます。
筋肉は筋繊維という繊維質の組織でできていますが、筋肉が疲労すると、筋繊維が張り詰めて膨張し、筋肉の中を走っている血管を圧迫しはじめます。 筋肉の中には血管が走っていて、筋肉に必要な酸素を供給し、筋肉は酸素を燃焼して運動に必要なエネルギーを生み出しています。
ところが、血管が圧迫され続けると、血流が悪くなり活動に必要な酸素が十分に筋肉に行き渡らなくなります。
すると、エネルギーに変換されるはずの筋肉中のブドウ糖が、不完全燃焼を起こして老廃物に変わり、筋肉やまわりの末梢神経を刺激することになります。この刺激が脊髄を通して脳に伝わり、こりや痛みとして感じられるのです。
脳が痛みを感じると、交感神経が緊張します。すると筋肉は反射的に緊張し、もともと緊張していた筋肉がさらに緊張します。
そしてさらなる血流不良を招き、老廃物がたまることになり・・・と、終わりのない肩こりスパイラルに陥ることになります。
この悪循環を招いている原因を断つことが、筋肉疲労性の肩こりの解決につながります。